やりがいだけじゃない仕事の難しさ

地域住民の健康を支える保健師は、大きなやりがいを感じられる魅力的な仕事です。しかし、その専門性の高さから仕事の難しさに直面することもあります。これから保健師を目指す人は、華やかなイメージだけでなく、現実的な側面も知っておくことが大切です。一つ目の難しさには、仕事の成果が見えにくい点が挙げられます。保健師の主な役割は、病気の予防や健康の維持・増進です。健康教室や家庭訪問でのアドバイスがどれだけ住民の行動変容につながったか、病気の発生をどれだけ防げたかといった効果はすぐにはわかりません。治療によって回復していく過程が目に見える他職種とは違い、地道な活動を長期間続けた先に、ようやく地域全体の健康指標の改善として現れることもあります。そのため、短期的な手応えを感じにくく根気強さが求められる仕事です。
また、多職種連携における調整役としての苦労もあります。保健師は医師や看護師、ケアマネジャー、学校の先生、行政の担当者など多くの専門職と協力して一人の住民を支えます。しかし、それぞれの立場や専門性が異なるため、意見が対立したり、方針がまとまらなかったりすることも少なくありません。その中で、保健師はそれぞれの意見に耳を傾け、最も良い方法を見つけ出す調整役を担います。板挟みになりながらも、粘り強く交渉する力が求められるでしょう。
そして、高度なコミュニケーション能力が不可欠な点です。支援の対象となるのは、健康に関心が高い人ばかりではありません。ときには自分の健康問題から目をそむけている人や、支援を頑なに拒否する人もいます。そうした人々の心を開き、信頼関係を築きながら必要な支援につなげていく過程は、一筋縄ではいかないでしょう。これらの難しさは、保健師という仕事の奥深さの裏返しでもあります。困難を乗り越えて地域や住民に貢献できたときの喜びは、何物にも代えがたいものとなるでしょう。